アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎
どうしてアトピー性皮膚炎になるの?
アトピー性皮膚炎の原因は様々なものが考えられていますが、大きく遺伝因子、環境因子に分けられます。もともと遺伝因子をもつ人に環境因子が加わることで発症、悪化するといわれています。
①皮膚のバリア機能が弱い
バリア機能とは皮膚の一番外側にある角層が皮膚を保護したり水分を保ったりする働きのこと。アトピー性皮膚炎では角層細胞の中の天然保湿因子やセラミド (保湿機能をもつ脂質)の量が健康な人に比べて少なく、バリア機能が弱いことがわかっています。そのため皮膚が汗などの刺激を受けやすく、また細菌などの 抗原が侵入しやすい状態になっています。
②外から入ってきた異物に反応(アレルギー反応)しやすい
一般にアトピー性皮膚炎の患者さんはアレルギー反応に関わるIgE抗体を作りやすい体質をもっています。炎症の経過が長いほど血中にIgE抗体が増える傾向がありますが、これはアトピー性皮膚炎の患者さん全員にみられることではありません。
- アレルギー反応が関与するもの
- ダニ、ハウスダスト、植物、カビ、細菌
-
- アレルギー反応が関与しないもの
- 汗の刺激、強い乾燥、シャンプーや石鹸の刺激、引っかくなどの物理的刺激、心理的ストレスなど
アトピー性皮膚炎はどんな治療が必要なの?
①炎症をおさえる、②悪化因子をとりのぞく、③スキンケア、 の3つの方法を中心に行います。
①炎症をおさえる・・・・ステロイド軟膏、タクロリムス軟膏
②悪化因子をとりのぞく
悪化因子になりうるものとは?
- ひっかくこと
- 発汗
- 空気の乾燥
- ほこり、よごれ
- 衣類の刺激
- 熱すぎるお風呂
- 温泉
- 石鹸、洗剤、シャンプー
- 動物の毛
- 植物、花粉
- 強い日光
- 心理的緊張、ストレス
- 不適切な塗り薬の使用
- 食物(卵、牛乳、大豆、小麦等)
③スキンケア
スキンケアの基本は、「皮膚を清潔に保つこと」「乾燥を防ぐために保湿薬を塗ること」「日常生活で悪化因子(上記②)を減らすこと」の3つです。
- 汗や汚れは速やかにおとす、ただしごしごし強くこすらない
- シャンプー、石鹸を使用するときは洗浄力のつよいものは避ける
- シャンプー、石鹸は残らないように十分にすすぐ
- かゆみを生じるほどの高い温度のお湯は避ける
- 入浴後にほてりを感じさせる沐浴剤、入浴剤は避ける
- 入浴・シャワー後は必要に応じて適切な塗り薬を塗る。
- 乾燥防止に、白色ワセリン、ヘパリン類似物質製剤、尿素製剤などの保湿薬を塗る。
- 室内は風通しをよくし、適温、適湿をたもつ。
- 寝室や子供部屋はていねいに掃除機をかける。
- 晴れた日に布団を干すように心がける。
症状がよくなったり、悪くなったりするのはなぜ?
アトピー性皮膚炎の患者さんは皮膚のバリア機能が弱くなっており、汗や摩擦などの外からの刺激に弱くなっている状態にあります。そこへ、肉体的スト レス(風邪、疲労、寝不足など)や精神的ストレスなどが加わると、より一層炎症をおこしやすくなる傾向にあります。症状がよくなったからといって、スキン ケアをサボってしまうと、ちょっとしたきっかけでまた悪くなってしまいます。
ぜひ皮膚のスキンケアを持続し、定期的に医師にかかり、皮膚の状態をみてもらうように心がけましょう!